バイクの二人乗り

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近年人気のビッグスクーター、いわゆるAT限定のバイク免許のシートはとても広く乗り心地がいいものです。
ツーリングや高速道路など走行する時はMT車より快適な走行を味わえると思います。大型バイクで友達や彼女を連れて憧れのバイクと一緒に
旅をするなんて最高だと思いませんか。でも一緒に行く人は免許がない…。困った…。と思う方もいるはず。
諦めるのはまだ早いです!二人乗りという手段もあります。
二人乗りは友達、家族、彼女などバイクの醍醐味を一緒に楽しめる走行方法ですが、それを行う上でライダーは改めてご自身のドライビング技能やバイクの知識を認識する必要があります。

二人乗りはタンデム走行と言われており、走行するのには条件があります。

バイク免許(大型自動二輪免許、普通自動二輪免許、小型限定免許)を取得してから1年間は初心運転者期間といい、その期間は一般道路において二人乗りはできません。高速道路をタンデム走行する場合は3年以上の期間が必要で、またドライバーが20歳以上の必要があります。構造上、適応されていない場合はバイクは二人乗りは禁止されています。(タンデムステップなど)
初心者の運転は熟練のドライバーや指導員が見れば一目瞭然で、背筋やグリップの握り方、運転時に位置取りや他のドライバーへの配慮など全然甘いです。1年以上でも自分の運転が未熟だと思っているなら、絶対二人乗りはしてはいけません。
また二人乗り禁止の道路標識「大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止標識」がある場合や、首都高の一部などは通行できませんので事前に確認する必要があります。

首都高は東名、中央自動車、関越自動車など地方へ行くのに利用する方が多く事故が多いと言われていますが、全道路が二人乗りを禁止しているわけではありません。事前に情報を知っておくことでゆとりのある走行ができ、また違法を犯して仲間と一緒にいく旅がつまらなくならないよう情報を知っておく事が大切です。

 

走行時に注意点

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ドライバーの運転技術も必要ですが、一番注意しなければならないのは同乗者の気持ちです。
免許所持者ではない方は、バイクの特性を全く知りません。生身の体に風が当たったり、体感速度、後ろから見える景色などバイクには一般の車とは異なる要素が沢山あります。あなた以上に後ろに乗るかたは不安を感じていると思います。
ですので、まずは同乗者の不安を取る事を優先するべきでしょう。
発進時はゆっくり、丁寧に行います。
同乗者が乗る分、重くなりますので通常よりも大きなパワーが必要になります。いつもよりクラッチを早くつなぎ回転数を高くして発進が必要ですが、急発進すると同乗者がのけぞり落下する恐れがありますので、アクセル開放のバランスが非常に重要になってきます。また一人の乗車に比べエンストや発進時のもたつきなどがある場合がありますので注意しましょう。
クラッチ操作は重要ですがラフなクラッチ操作を多様することは逆に危険性が伴います。
同乗者の重さが増す分ブレーキもききずらくなり、制動距離が長くなります。
いつも以上に早めで丁寧なブレーキを心がけて下さい。急ブレーキは同乗者が前につんのめてしまい落下する恐れがあるので、危険を感じる前にエンジンブレーキを多用し弱めのブレーキで調整して下さい。
ドライバーの姿勢も大切です。
二人乗り時は同乗者の動きに左右されますので、同乗者には最低限のバイクの知識や手足の位置、ニーグリップなど乗り方を教える必要があります。特にカーブなどでバイクが傾く場合、怖いからといって逆方向に体を傾けると余計危険です。その場合はカーブする方向に体をあずける事が重要で、そういったバイクの基本的な乗り方を知ってもらいましょう。
ライダーは同乗者の挙動に影響を受けないようにタンクを膝でしっかり挟むニーグリップをしっかり行うことでバイクは安定します。
二人乗りで気分が高揚して激しく体を動かして運転するライダーがいらっしゃいますが、上半身がブレない走行が基本になります。
これらは全て同乗者の立場にたった基本的な走行でライダーのマナーだと言えます。
同乗者はライダーの腰につかまり、体を密着することで安定されます。

二人乗りの装備

同乗者の装備もライダーと同じレベルの装備が必要です。
ヘルメット(ジェットヘル)やプロテクータ付きジャケット(厚手のジャケット)、グローブ等は最低限必要になってきます。
女性の同乗者で半キャップ、ショートパンツなど軽装の方がいらっしゃいます。
あまりスピードを出していない30キロでの走行でもむき出しの体が放り出さされれば、怪我だけでは済まず生死に関わる重大な事故になるでしょう。
夏場にTシャツ1枚の場合、1時間もしないうちに日焼けになり、知らず知らず火傷になる場合もあります。
また事故が起きた場合、ライダーより同乗者の被害が大きくなる事が多いです。
ライダーは同乗者の命を預かっている責任があり、また教習所で学んだ事を同乗者の方にも教える義務があると思います。(技能教習でこんな事やった、学科教習ではこんな事を学んだなど
安全に走行するためにお互いコミュニケーションを取る事も重要です)

他にも安全に走行する上で必要なアイテムがあります。
ヘルメットにお互いインカム等を装備しておけば、意思の疎通が楽です。走行中でもお互いの声が聞こえるので非常に便利です。
ただしまだまだ高いアイテムなので共通の合図を事前に覚えておくと良いかと思います。
例えば「トイレ休憩」は腰をたたく、「もう少しゆっくり走行して」は脚を1回叩くなど、二人乗りする前はしっかり準備しておくと安心です。
リヤシートの大きさも重要でオフロード系のバイクはリヤシートが狭く長距離の二人乗りには適しません。背もたれ(バックレスト)などしっかり
付いてあるバイクを選びましょう。

バイクの装備チェック項目

・ブレーキはしっかり効くか?
二人乗りですので、一人で乗るよりはブレーキの効きが悪くなりますので、しっかり点検しておきましょう
・タイヤの空気はしっかりあるか?
通常の走行ではあまり気にしない場合がありますが、一人分の体重が加算されますので、空気圧のパーセンテージをチェックする必要があります。
できればガソリンスタンド等で専門家の意見を聞いてから走行しましょう。
・ミラー位置は問題ないか?
走行中は同乗者の安全を確保するため同乗者に一番気をとめなければなりません。従って周囲を見る余裕がなくなる場合があり、ミラーで確認する頻度が高くなります。
同乗者が乗った場合は車体は少し下がりますので、当然ミラーの位置も変わり見える範囲に変化がおこります。
ミラーの調整はタンデムする前に同乗者に乗ってもらい調整する必要があります。

まとめ

二人乗りは非常に楽しいですが、一番重要な事は同乗者の安全を確保することです。
また安全を確保するには装備品や走行時の注意、メンテナンス等をしっかりする必要があります。
教習所で学んだ基本の技能教習をしっかり行い、バイクを楽しんでください!

尚、二人乗りは危険が伴うため当校が進める行為ではありません。